“ようへんてんもくちゃわん”を見たい、と思った。会いたい、と思った。
何がきっかけであったかは、今や定かではない。
『なんでも鑑定団』なんて人気番組に影響されて、
あれこれネットサーフしたその結果だったのかも知れない。
“ようへんてんもくちゃわん”は『曜変天目茶碗』と書く。
「曜変」は「耀変」「窯変」とも記される由である。
さて『曜変天目茶碗』――インターネットでその写真を見た時に興味を覚えた。
もとより、能くは分からないのだが、
内側部分の妖しき(とでも表現するしかない)色彩に心を奪われた。
と書けば大袈裟に過ぎるか。
見に行くしかない。
Wikipediaに因れば、
曜変天目茶碗は、現在の中国福建省建陽市で作られたとされる。
現存するものは世界でわずか4点しかなく、そのすべてが日本にあり、
3点が国宝、1点が重要文化財に指定されている。
とある。
そのうちの一つが大阪の藤田美術館にある。常設展示は無いが しかし今「開館
60周年特別展」開催中で、件の国宝『曜変天目茶碗』も展示されている。
等々を知る。
茶碗が「逢いに来い」と言っている以上、行くしかない。
晩秋の某日、行ってきた。
脚の不調でさっさと歩けないのをもどかしく思いながら。
茶碗は其処で待っていた。
実に素晴らしいものだった。
椅子にでも座ってじっくり眺めて居たいと思わせるものだった。
説明文の「瑠璃色の曜変と呼ばれる斑文は、まるで宇宙に浮かぶ星のように
美しい輝きを放ち、品のある華やかさの中にも落ち着きがあります」が違わぬ。
眼福と記しておく。
俳句にしようとしたが、天分無き身には叶わぬ。佳い句は作れない。
ただ、秋の終わりのある日、『曜変天目茶碗』を見に行った、というメモにはなるか、と。
以上、たいへん遅くなりましたが、先の「 Comment 」欄にお答えして。