2017年4月──【その弐】

「桜前線、北海道に到達」の記事がありました。

北海道南端の松前町松前公園のソメイヨシノが開花した、と。

大阪では遅咲きの菊桜などが、今も楽しませてくれています。

桜の花が美しいとばかり言っておられるご時世ではありませんが。

人間の営みの小ささに溜息を吐く日々ですね。

かくしゃくの きょしおうまいる はなまつり

矍鑠の虚子翁参る花祭


もとまちの えきをおりれば さかせあめ

元町の駅を降りれば咲かせ雨


このさくら このひとたちと このえにし

この桜この人たちとこの縁


さいてちり じゅれいをひとつ かさねけり

咲いて散り樹齢をひとつ重ねけり


たんたんと いでてはざくら つぐいのち

淡々と出でて葉桜継ぐいのち


ゆうしゅうの なぜになつあき はなぐもり

憂愁のなぜに夏秋花ぐもり


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  # by tanaby07 | 2017-04-24 10:10 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

2017年4月──【その壱】

いつもより少し遅めの今年の桜。

でも、あっという間に散り、はせず、

けっこうながく楽しめています。

欣求浄土叶うたり、は大袈裟ですが。

しゅんこうや かわのだんさの しろあぶく

春光や川の段差の白あぶく


みぎめより ぬけていっぴき はるのかに

右眼より脱けていつぴき春の蚊に


いさぎよし はくもくれんは ほどけたり

潔し白木蓮はほどけたり


はるしなん ちょうじょうかへん ふみゆけば

春死なん重畳花片踏みゆけば


かわぞいの ろうおういちじゅ えだおもし

川沿いの老桜一樹枝重し


なにしおう さくらどおり ばんだかな

名にし負ふ桜通りの万朶かな


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  # by tanaby07 | 2017-04-14 19:16 | 俳句 | Trackback | Comments(2)

2017年3月──【その参】

核兵器禁止条約の第一回交渉に115の国が参加しこの程終了。

核保有国は参加せず――分り易い景色です。

しかし唯一の被爆国日本が不参加、には驚きました。

アメリカやロシア、その他大国に「ノー」と言えないニッポン。

そんな評価が定まってしまいそうです。

いちばんの きにいりのくつ はるのどろ

一番の気に入りの靴春の泥


かいやぐら いずこむかうや このくには

蜃楼何処向かふやこの国は


しゅんちゅうや ふぐあいかしらん わがかいば

春昼や不具合かしらん吾が海馬


いまいまし いっぴきはるのか しやにあり

忌々し一匹春の蚊視野にあり


そつぎょうか うたうはかまは ふかみどり

卒業歌唱ふ袴は深緑


おおさかじょう ひょうほんぼくも かいかせり

大阪城標本木も開花せり


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  # by tanaby07 | 2017-04-02 17:59 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

土俵の上に神がいた

つなとりの もたつきよそに つゆあくる

綱取りのもたつき余所に梅雨明くる


去年の七月にこんな俳句を載せています。

なかなか横綱昇進できない稀勢の里。そのもどかしさを詠んだものです。

去年一月に琴奨菊が外国出身力士の連続優勝を阻止。

豪栄道が優勝したのが九月でした。

その間、稀勢の里は、三月も五月もそして七月も準優勝でした。

十一月も準優勝。

年明けて今年。遂に初場所に初優勝。

大阪での春場所も白星街道。

で、作ったのが


はるばしょや ひのしたかいさん ここになる

春場所や日下開山ここに生る


「日下開山(ひのしたかいさん)」、元々は仏教用語から来た言葉ですが、大相撲横綱のことです。天下に並ぶものなき大横綱の謂いです。


好事魔多し。二十四日に敗戦し負傷。翌二十五日為す術なくあっさりと土俵を割ります。
満を持して「日下開山」の句を作ったのに――。


テレビ桟敷で千秋楽取組を観戦。

前日の負け方を観れば、手負いの稀勢の里が夜叉の如き鋭い目つきの好調照ノ富士に勝てる筈が無い、横綱姿を一目見ようとチケットを買ってくれたファンに申し訳ないから出場を強行したのだろうけれど、怪我を長引かせるなよ――と。


しかし。

何と堪えて堪えて勝利。もうこれで充分、無理するな、面目は立った――。

恥ずかしながら我がまなこは潤んでいました。

優勝決定戦にも勝利。


すっかり敵役になった照ノ富士が些か気の毒でしたが、観客は欣喜雀躍です。

勝利の女神が、我慢して我慢して我慢して漸く辿り着いた男に、ほほ笑んだのでした。

愉しい一日になりました。




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  # by tanaby07 | 2017-03-27 18:46 | 独語 | Trackback | Comments(1)

2017年3月──【その弐】


椿は「おちる」、牡丹は「くずれる」、梅は「こぼれる」、

そして、桜は「ちる」。

表現を変えて、実に言い得て妙です。

さて、桜。そろそろ咲かねば。
早咲き、遅咲きいろいろありますが、

大阪、開花は間もなくです。

こうそうの まんしょんぐんに はるともし

高層のマンション群に春灯


まどあけて はらいっぱいに はるのかぜ

窓開けて腹いつぱいに春の風


あいにるも おなじからずや うめこぼる

相似るも同じからずや梅こぼる


みまかりて はやひゃっかにち ひがんいる

身罷りてはや百か日彼岸入る


はるばしょや ひのしたかいさん ここになる

春場所や日下開山ここに生る




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  # by tanaby07 | 2017-03-23 23:16 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

2017年3月──【その壱】


東日本大震災、今日で丁度6年の経過です。
新聞報道によると、未だ12万人余が避難生活とか。
まだまだ終わっていないのです。
合掌。

はるよぞら きとらこふんに てんもんず

春夜空キトラ古墳に天文図


はるぞらの しやにひぶんの うれいかな

春空の視野に飛蚊の憂ひかな


きにゅうせし ぞうへいきょくの とおりぬけ

記入せし造幣局の「通り抜け」


ふつごうな がたありはるの ためいきも

不都合なガタあり春の溜息も


あかもしろも うめはしだれに かぎりたる

紅も白も梅は枝垂れに限りたる





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  # by tanaby07 | 2017-03-11 15:21 | 俳句 | Trackback | Comments(2)

2017年2月──【その参】

春の気配を感じられるようになってきました。
あっという間に「春爛漫」ということになるのでしょうか。
右眼の視野に変形した円状の影。
眼球の動きに合わせてそれは動きます。
どうやら「飛蚊症」のようです。
これもまた老化現象なのでしょう。
寂しい言葉ですね。抗いようもありません。

きねんびを ねことあらそう にんじゃかな

記念日を猫と争ふ忍者かな


よほうしの はるさんばんちゅう ことばきく

予報士の春三番ちう言葉聞く


ようように はるのひかりと かぜとそら

やうやうに春の光と風と空


まちかどの まんうおっちんぐ はるのくも

街角のマンウォッチング春の雲




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  # by tanaby07 | 2017-03-02 23:15 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

2017年2月──【その弐】

先日テレビのクイズ番組を観ていたら、
ぐずぐず言う解答者に対し、「いさぎが悪ㇼ―んだよ」と司会者。
もとより、物知りでもなく台本を読んでいるだけなのですから、
この言いようもまた台本にあるのでしょうか。
あるいはアドリブでしょうか。
“いさぎ”が“よい”なんて言葉はありはしません。
従って “いさぎ”が“わるい”なんて言葉も。
“潔い――いさぎよい” という一つの言葉です。
この誤用が頓に増えています。
言葉は生き物です。これが当たり前になっていくのでしょうか。

そうしゅんや すいへいりーべ ぼくのふね
早春や水平リーベ僕の船

くるおしく いぬはしるはら あさきはる
狂おしく犬奔る原浅き春

ぼんばいの まるでくちたる みきでなお
盆梅のまるで朽ちたる幹でなほ

ぼんばいの うろのありたる みきでなお
盆梅の空洞のありたる幹でなほ

みまかりて いくせいそうや ぼんばいてん
身罷りて幾星霜や盆梅展



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  # by tanaby07 | 2017-02-23 23:50 | 俳句 | Trackback | Comments(2)

2017年2月──【その壱】

節分になり、立春を過ぎても、まだまだ春はやって来ません。
虚弱の身ゆえ、インフルエンザに罹り、
そしてなかなかすっきりと癒えず。
低い平熱の35.4℃と微熱の36.1℃の間を行ったり来たり――。
難儀なことです。

むおんやみ はるくることの ふたしかさ
無音闇春来ることの不確かさ

せつぶんや じゅんびはじむる ちかのむし
節分や準備始むる地下の虫

そこのかど いまだまがらぬ はるをまつ
そこの角いまだ曲がらぬ春を待つ

じゃぐちより まだまだいでず はるのみず
蛇口よりまだまだ出でず春の水

はるちちと たいさついまだ よみおえず
春遅々と大冊未だ読み了へず

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  # by tanaby07 | 2017-02-14 18:15 | 俳句 | Trackback | Comments(2)

2017年1月──【その参】

外出先からの帰途、太陽は没していましたが、
見上げれば西空に細い月。
月齢は3といったところ。
そして燦然と云う他ない金星――宵の明星がまさに侍するが如く。
明るさから言えば、侍しているのは月の方と表現すべきでしょうか。
寒いけれども澄んでいて、
金星の明るさが改めて実感できました。

いまこそが しゅんらしうなぎ かんどよう
今こそが旬らしうなぎ寒土用

うしべにを ひきてかくすや こころくま
丑紅を引きて隠すや心隈

おおよぞら いてぼしひとつ のみありて
大夜空凍星ひとつのみありて

ぐっどばい とものむこうに かんおりおん
ぐつどばい友の向うに寒おりおん

ばべるのとう りんりつすふゆの だいさんかく
バベルの塔林立す冬の大三角

にしぞらに みょうじょうつきと ふゆのよい
西空に明星月と冬の宵

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  # by tanaby07 | 2017-02-01 20:01 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

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